次はパラリンピックの番だ! 平昌2018冬季パラリンピック日本選手団が結団式・壮行会
平昌2018冬季オリンピック閉幕から一夜明けた26日、平昌2018冬季パラリンピックに出場する日本代表選手団の結団式・壮行会が都内で開催された。秋篠宮同妃両殿下ご臨席のもと、選手たちは緊張した面持ちで式に臨んだ。
結団式では選手と役員86人の名前が一人ひとり呼び上げられた。盛大な式典で激励を受け、多くの選手たちが「次は自分たちの番だ」と決意を新たにしたことだろう。
パラリンピックはオリンピックと同じ韓国・平昌を舞台に、3月9日から10日間の日程で行われ、6競技80種目でメダルが争われる。日本代表選手団はアルペンスキー、スノーボード、クロスカントリースキー、バイアスロン、アイスホッケーの5競技に38人の選手を派遣し、6個のメダル(金3、銀1、銅2)を獲得した前回以上の成績を目指す。
団長を務める大日方邦子は、アルペンスキーの金メダリストでもある。出発を目前に控える選手たちに「応援を力に変え、クリーンでフェアなアスリートとして正々堂々と競技に臨んで」とメッセージを送り、また「選手役員ともに精一杯頑張るので熱い応援をお願いします」と会場に呼びかけた。
続いて、旗手・村岡桃佳(アルペンスキー)介添えのもと、主将の須藤悟(アイスホッケー)がこう決意を述べた。
「2年半後の東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、障がい者スポーツへの関心が高まっていて、冬季競技の私たちもメディアのみならず、一般の方の期待が大きくなっていると肌で感じている。同時に、日の丸を背負って戦う責任も日を追うごとに大きくなっている。かつて障がい者スポーツの認知度は非常に低く、競技環境も決して良いとは言えなかったが、東京オリンピック・パラリンピックの決定後、環境は大きく改善された。今回、競技の魅力を少しでも多くの皆さんにお伝えすることができ、ひとりでも多くの障がいを持っている方がスポーツをやってみたいと思うきっかけになることを願っている。オリンピックの勢いを引き継ぎ、素晴らしい大会にしたい」
決意表明が終わると、須藤主将と村岡旗手にこの日一番の大きな拍手が送られた。
「表彰台に」「ベストな滑りを」「結果で恩返しを」……それぞれの決意
大役を終えた須藤は「ここでまずひとつ緊張したので、現地入り前に一度心を休めて、また気持ち新たに臨みたい」とほっとした表情で語り、村岡は「旗手は光栄なこと。実際に国旗の受け渡しをして、いよいよだなと身が引き締まった」と言い、笑顔を見せた。
アルペンスキーの森井大輝は、5度目のパラリンピックで悲願の金メダルを目指す。「すごく盛大な式を開いていただいた。ここまで来れたのは多くの人の支えがあったから」と感慨深そうに語った。
クロスカントリーで金メダル奪還を狙う新田佳浩は、「結団式に出席し、残り11日という実感がわいた。必ず表彰台に立てるように頑張りたい」と力を込めた。
平昌パラリンピックから新たに独立した競技として実施されるスノーボードには、リオパラリンピック陸上競技の走り幅跳びで銀メダルを獲得した山本篤が出場。「もう少し競技を始めるのが早ければ……」と話しつつ、「本番ではベストな滑りをしたい」と意気込んだ。
金4個を含む13個のメダルを獲得したオリンピックの話題を口にした選手も多くいた。
クロスカントリースキーとバイアスロンのガイドスキーヤー藤田佑平は、早稲田大学のスキー部OB。「オリンピックでは友達や先輩、後輩が一緒に走っている姿を見て本当にパワーをもらった。次は僕たちの番だなと思った」と意気込む。
「オリンピックがあれだけメダルを獲ったのを目の当たりにして、結果で恩返ししたいと思うし、ただ盛り上がるのではなく、結果で盛り上げなければいけない」と力強く決意を語ったのは、アルペンスキーの三澤拓だ。昨年末に左足を骨折したが、4度目の大舞台に間に合わせた。
また、壮行会では競技練習拠点のスタッフや各選手の恩師などからのビデオメッセージが放映された。
ベテランと新人が融合した選手団
この日の最後に行われた記者会見には、大日方団長、中森邦男副団長、須藤主将、村岡旗手が出席した。
「日本選手は前回の20名から38名へと倍増したことが非常に心強い。初参加が13名、4回以上参加している選手が11名ということで、新人とベテランがミックスしたいいチームになった」と中森副団長は期待を込めた。
選手たちがそれぞれの想いを背負って挑む平昌パラリンピックは、テレビでも放送される。オリンピックと同様に4年に1度。その貴重な瞬間にどんなパフォーマンスが見られるのか。オリンピックから続く、平昌の熱戦はまだまだ終わらない。
text by Asuka Senaga