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アルペンスキー
村岡桃佳、回転の銀メダル獲得で全種目 表彰台!アルペンスキー/平昌パラリンピック
アルペンスキー最終日は女子回転が行われ、村岡桃佳(女子座位/LW10-2)が銀メダルを獲得した。出場した全5種目で表彰台に上り、冬季大会における日本選手最多の1大会5個のメダルを手にした。
荒れた斜面で転倒するが……
苦手種目の回転での好成績。「正直、今日の朝までメダルが獲れると思っていなかったので、驚いています(笑)」と、開口一番に言った。
1本目で2位につけた村岡は、「この調子で挑もう」と考えていた2本目で転倒。荒れた斜面に対応できず、ターンの出だしが遅くなったことが要因だった。
「正直、あきらめそうになりました。でも、(初日の滑降で)銀メダルを獲ったとき、日本チームの中で『わたしに始まり、わたしに終わる』と言ってしまったので、このままでは終われないという思いでリスタートしました」
村岡は2位。優勝はドイツのアンナレーナ・フォルスターだった。
大会を通して成長を遂げ、一皮むけた。「苦手な回転でも、徐々に自分の滑り方を見つけ出せてきた」と、その言葉は頼もしい。今後はオールラウンダーとして活躍する日も近いだろう。
そして、これからはパラリンピックの金メダリストとして追われる立場になる。
「男子の先輩たちのように、他の選手も出てきたら、さらに厳しい戦いになるだろうと、選手村でそういう話になりました。ただ、そんな中でも自分らしくずっと滑っていきたい。まだまだ成長途中だと考えているので、もっとカービングターンに磨きをかけてタイムを伸ばしていきたいです」
大回転の金メダルを手にしたとき、金メダルについて“スタート地点“だと話していた村岡は、チェアスキーヤーとしてさらなる成長を誓った。
有言実行のメダル獲得
「4年前は獲れなかったメダルを獲りたい」――2月の日本代表選手団の壮行会・結団式で記者を前に、そう決意表明した村岡。ワールドカップでも表彰台に上っており、決して無謀な目標とは思えなかった。だが、大舞台を目前にして本人にとっては思い切った発言だったようで、言い終えたあとに小声で「あー、言っちゃった」と漏らしていた。これまでは言葉を選んでいたのだろう。だが、旗手を務め、メダルを獲り、彼女の中で何かが変わった。そして「言ったからには、やらなくてはならない」という心理が、このパラリンピックでうまく作用したように思えてならない。事実、3個目のメダル獲得後には「(悲願の金メダルを目指した、森井)大輝さんより先に金を獲りたい」とも話していた。
開会式で日本代表選手団の旗手を務めた村岡は、閉会式でも旗手として入場した。日本代表選手団は今大会の目標を上回る10個のメダルを獲得。「わたしに始まり、わたしに終わる」を体現した村岡の活躍が光る10日間だった。
text by Asuka Senaga