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車いすテニス
[第25回NEC全日本選抜車いすテニス選手権大会]予選から決勝まで完勝! 女子の上地が前人未到の8連覇
日本のトップランカーのみが出場できる「第25回NEC全日本選抜車いすテニス選手権大会(JWTAマスターズ)」が、千葉県柏市の吉田記念テニス研修センターで開催された。
女子で圧倒的な存在感を見せたのが、世界ランキング3位の上地結衣。予選ラウンドロビンを順当に勝ち上がり、準決勝では19歳の田中愛美と対戦。6-0、6-0で完勝した。田中は今年5月の時点で16位だったJWTAランキングを5位まで上げてきた注目株。その田中に付け入る隙を一切与えず、「世界の上地」の力を見せつけた。
続く決勝の相手は堂森佳南子。JWTAマスターズの決勝でふたりが対戦するのは、実に6度目だ。互いにプレースタイルを知り尽くしており、上地は今大会初めて第1セットでゲームを落とした。だが、軽快な動きでじわじわと差を広げた上地が主導権を握り、最終的には6-2、6-0で勝利した。上地は第18回大会を14歳で制してから8連覇の偉業を達成。試合後は「嬉しいです」と笑顔を見せた。
来年のリオパラリンピックを見据え、今季の上地はバックハンドトップスピンの習得にチャレンジしている。現在は、スピードと回転数を重視した二種類のショットを練習していると言い、12月2日にイギリス・ロンドンで開幕する世界マスターズでも実践するつもりだ。「(9月の)全米オープン後のヨーロッパ遠征ではこのショットをうまく使えた感触がある。さらに練習を積んで臨みたい」と話している。
世界8位の眞田が初優勝! 世界マスターズに向け好発進
男子の決勝は、過去7連覇を含む12回の優勝を誇る齋田悟司と、今季世界ランキング8位につけている眞田卓のカードに。第1セットは、まず眞田が齋田のサービスゲームをブレーク。一方の齋田は焦ることなく、深いコースを突いたショットや前への揺さぶりなど、ベテランらしいプレーでゲームカウント3-4と粘る。だが、眞田も要所で得意の重いフォアハンドを決めてリードを広げて第9ゲームもブレークし、6-4で眞田が先取した。第2セットは眞田が主導権を握り、6-0で制した。眞田は競技をスタートした10年目の節目で初優勝。「感慨深い勝利。滑りやすいサーフェスで苦戦したけれど、後半うまくコントロールできたことが勝ちにつながったと思う」と喜んだ。
上地同様、眞田も12月の世界マスターズに出場予定だ。目指すは、昨年は叶わなかった決勝トーナメント進出。来年1月のグランドスラム大会である全豪オープン出場も視野に入れ、ベスト4入りを狙う。
クァードは大接戦を制した川野が 3年連続5度目V!
毎年接戦が繰り広げられる、上半身にも障がいがあるクァード。今年はJWTAランキング1位の諸石光照と2位の川野将太が、決勝で激突した。まず、第1セットを奪ったのは諸石だった。第2ゲーム、諸石は車いすの左側のタイヤの空気が抜けるアクシデントに見舞われるが、ペースを乱されることなく、4度のブレークに成功して先取した。対する川野は、「レシーブから攻めていく」と臨んだ第2セットで反撃。第1ゲームから4ゲームを連取し、6-3で取り返した。最終ゲームは、一進一退の攻防が続く。5-4と川野リードで迎えた第10ゲーム、ともに譲らぬ息を飲む展開となり、最後は3度目のマッチポイントで川野が勝利を収めた。手に汗握る熱戦をみせた両選手に、観客は大きな拍手を送った。
川野は3年連続の優勝。試合後は、「今年最後の大会だったのでよい一年の締めくくりになった。とはいえ、コースを厳しく狙った結果、ミスが多く出てしまったことは反省点。目標はリオでのメダル。私の場合は試合が長引くと不利になるので、早い段階でポイントを決められるよう瞬発力を磨いていきたい」と語った。
text by Miharu Araki
photo by X-1